はじめまして、WAT代表の渡部守と申します。小さいIT企業には多い「社長職兼SE」をやっています。

私は、未だ駆け出しの20代の頃、派遣のプログラマーとして常駐した鹿島建設様のCADチームにて「土木の3次元CAD」と初めて出会い、そこで1年間「土木3D」の技術を学びました。今から30年以上も前の話です。

当時は、未だCIMなんていう概念は一切なかったですので、土木分野での3D-CADの主な目的いうのは完成後の景観図です。つまり、土木系の3次元CADは生産性の向上にはなんら寄与しない物(CGか、お絵かき程度の扱い)に過ぎませんでしたので、製造に直結する機械系の3次元CADと大きな差がありました時代です。

鹿島建設様で培った技術を応用して、その後に三菱地所様の発注にて「土木景観シミュレーション」というシステムを開発しました。当時は、手書きからコンピュータによるプレゼン用の完成図や走行シミュレーションなどがブームとなりつつあった時期で、大手ゼネコン各社はこぞってこの様な3Dシステムの開発をしていた時期でもあります。

その後、CALS/ECの概念が出て来て土木の世界もそちらのほうへと流れていってか、一時、土木3Dは下火となりました。AutoCADなどでの大手のサイド開発ベンダーは、どんどん撤退を(土木CAD製品市場の低迷や開発環境への対応不能等の理由で)余儀なくされていきました。その様な冬の時代を経て、ようやく近年それがCIMに至った・・・。我々土木3Dソフトベンダーは長い紆余曲折の歴史を辿って参りました。

少し技術的な話をしますと、私が鹿島建設様や三菱地所様で3次元CADの開発に携わっていた頃は、ハード的にはワークステーション(OSのUNIXが有名なパソコンよりちょっと高性能なコンピュータ)が主流の時代でしたが、それでも3Dのモデリングとなりますと相当な処理時間は要していたと記憶しています。例えば、実行コマンドのRUNと打ってから、結果が出るまでに30分ぐらい待つのです。

土木3Dの技術で言うと、地形は未だTINではなく「固定メッシュ」、法面は「小段なし」です。処理速度的にもアルゴリズム的にも、当時はそれが技術的限界だったのかなぁという気がします。土木の3Dにおいて「TINメッシュ」と「固定メッシュ」並びに「小段法面」と「小段のない法面」とではモデリングする上で大きな技術的な差が(天と地ほど大きな違いが)あります。もちろん、それぞれ後者のほうが簡単(簡易的)で容易なモデリングにはできますが、見た目の形状も厳密にはかなり異なって見えたりもしますし、土量なんかも当然両者では違ってきます。

そうした技術的に難しい部分にもチャレンジをして、一つ一つ克服しつつ現在に至っています。特に、レベルに平行な水平の小段(長手方向の排水勾配も付けられる)の3Dモデリングは、他ソフトには無いうちだけの技術です。

それでは、そんなこんなで開発した当社の土木CIMソフト「WATs-3Dシリーズ」をどうぞ御ひいきのほど、よろしくお願い申し上げます。